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[TOPICS]第70回労働政策審議会労働条件分科会傍聴記
 −厚生労働省、労働契約法制と労働時間法制のあり方について報告案を提出

 平成18年12月8日、厚生労働省は、第70回労働政策審議会労働条件分科会に、労働契約法制と労働時間法制のあり方についての報告案を提出した。以下にその報告案をめぐる分科会の議論の傍聴録を簡略に記すこととする。
 
  厚生労働省は、平成19年の通常国会で労働契約法の制定と労働基準法の改定を目指し、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会より労・使・公益委員の同意を得て、最終報告を年内にも受けたい心積もりのようだ。しかし、労使それぞれの委員が受け入れがたいとしている未確定部分が残っており、議論は、労使が言いたいことを言い放つだけという様相を呈していた。取りまとめまで困難が予想される。
 
○労働契約法制の制定案
  報告案では、労働契約法制の制定案で、労働契約の均衡の考慮、整理解雇の要件の明文化、解雇の金銭解決の仕組みの導入、などが未確定の部分だとしている。
  「均衡」については、労働側からは、同一価値労働同一賃金の原則とはっきりさせるべきだとの発言があり、経営側からは、労働契約法に「対等」や「均衡」という言葉は不要だという発言もあった。整理解雇の条文化については、労働側委員の一人が、条文化にあたり現在の判例法理に何も足さず、何も引かないで欲しいと注文したのに対し、経営側委員からは、整理解雇の要件について判例は固まっていないのではと疑問を呈する場面もあった。また、解雇の金銭解決を条文化することについては、労働側が強く反対している。
  さらに、事務方が確定とした部分についても、労使それぞれが十分納得しているわけではない。たとえば、安全配慮義務を労働契約の原則として総則の中に取り込む案については、労働側は「総則的な部分でなく各論の中に具体的に入れるべき」としているのに対し、経営側は「安全衛生法があるのだから、労働契約法に明文化する必要はない」としている。就業規則の変更による労働条件の変更についても、労使双方が別の意味で警戒を示している。

○労働時間法制のあり方 
  労働時間法制のあり方についての議論では、報告案は、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプション制の対象労働者の年収要件については、未確定であるとしている。これに対して中小企業の経営者の立場からは、年収要件は不要だという主張がなされた。労働側からは、ホワイトカラー・エグゼンプション制そのものに強く反対する意見表明がなされた。
  報告案は、一定時間を超える長時間労働に対する、割増賃金の割増率をより高くするとしている。労働側は、これに対して、割増率を多段階で変えるという面倒な方法でなく、法定時間外労働全般に対して、たとえば一律50%の割増率に揃えることを提案した。経営側は、割増率を高めても長時間労働問題の解決にはならないと反論している。
 
  このように、労働契約法制では、解雇の金銭解決の導入、労働時間法制では、ホワイトカラー・エグゼンプション制の問題と時間外労働の割増率が決着が困難な問題となっている。有給休暇の時間単位付与については、労使ともにノータッチだった。また、公益委員は沈黙を守り発言がなかった。
  今後、議論を収束させることが可能なのか注目される。

(2006/12/11)

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