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労働審判制度が来春スタート
増大する個別労使紛争に対応する新しい司法制度として生み出された労働審判制度が、平成18年4月にスタートする。この制度は、司法制度改革の一環として、労働検討会(菅野和夫座長)で発案された。同検討会における31回にわたる審議の末、労働側、経営側、裁判官、研究者、政府関係者という利害の異なるグループのコンセンサスを得て法案化され、平成16年4月28日に参議院において全会一致で可決成立した。
他制度と比べた特徴
この新制度の特徴として以下のような点があげられている。
・ 民事訴訟に比して費用も時間もかからない。
・ 都道府県労働局などの「あっせん」より強制力がある。
・ 労働委員会と異なり、集団的労使紛争は扱えない。
・ 刑事訴訟における「裁判員」に先駆けて、民間人である「労働審判員」が審判に参加する。
しくみ 労働審判制度は、解雇、雇止め、労働条件の低下などの個別的労働関係をめぐる労働者と事業主の間の民事紛争を対象とする。労働審判を行う労働審判委員会は、地方裁判所に置かれる。労働審判委員会の委員は、その地方裁判所の裁判官である労働審判官1名と労働関係に関する専門的知識経験を有する民間人から選ばれる労働審判員2名の合計3名で構成され、決議は、委員の過半数の意見で決められる。労働関係に関する専門的知識を有する者とは、結局、労働組合執行委員や企業の人事・労務経験者などのことで、当初は労働組合と経営者団体の推薦を受けて選ばれる予定。
民事訴訟と比較し手軽で迅速
この制度は、民事訴訟のような審理の長期化を避けるため3回以内の審理で結論が出されるしくみになっている。当初の申立てから40日以内に第1回目の期日が指定され、相手方もその期日の前に答弁書を提出し、第1回目の期日で争点整理と証拠整理は終わる。審理の迅速化のために当初の申立書と答弁書は文書で提出されるが、その後の反論・再反論は原則として口頭でやり取りすることになる。申し立てられた側が非協力的な場合には、申立て側だけの言い分で結審できる。結審後2週間以内に地方裁判所に異議を申し立てないと審判は確定し強制力を持つ。審理の途中で、裁判上の和解と同じ効力がある調停を成立させることも可能だ。労働審判は、正否明らかにしなければならない民事訴訟による判決よりも、当事者の権利関係を踏まえたより柔軟な内容とすることができる。
実務への影響
配置転換、出向、懲戒処分、労働条件などをめぐる紛争では、従来は、在職中の訴訟ははばかられたが、民事訴訟より敷居が低くあっせんよりも強制力があるという労働審判制度の特徴により、在職中の労働者からの申立ても発生することが予想される。解雇や雇止めの事例でも、訴訟ではなくより気軽にこの制度を利用するケースも増えそうである。
こうした場合、雇用契約書、就業規則、解雇予告通知や転勤辞令など交付した文書はそのまま申立書と一緒に証拠として提出されるであろう。人事部としては、労働諸法令や労働者の権利を考慮した上でこうした文書の交付をするよう細心の注意が求められるようになるだろう。また、転勤命令と退職勧奨をからめるようなトリッキーな対応をより慎む必要が出てこよう。
また、この審判制度は、使用者側から申し立てることもできる。労働者の過失や故意により損害をこうむった使用者が、労働者に賠償を申し立てるというケースなども考えられる。(2005/09/09) 情報提供:アルファ コンサルティング オフィス
小島 史明
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