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税制調査会「個人所得課税に関する論点整理」を読む
税制調査会基礎問題小委員会(石 弘光 小委員長)は、6月21日に「個人所得課税に関する論点整理」を公表した。公表後、報道機関や野党などから「サラリーマン狙い撃ち増税」と批判された。さらに総選挙が始まると、与党もこの政府税調の報告から距離を置き批判的な姿勢を示している。このような政治状況のため、この報告の論点がどこまで採用されるのか不透明になってきた。しかし、ここでは、これだけ話題を呼んだ報告書に、一体どのようなことが書かれていたのか、冷静にまとめてみる。
見直しの方向
この論点整理は、個人所得税の見直しに関するものなので、法人への課税や消費や資産所有などを課税対象とする諸税については触れられてはいない。
見直しの方向としては、個人所得課税のあるべき姿である、「公平・中立・簡素」をめざして、複雑化した税額表や様々な控除を簡素化して、財源調達機能を回復するとしている。財源調達機能回復とは、税収を増やすということを意味している。
平成18年度には、現在実施されている定率減税を廃止し、国から地方への税源移譲の一環として、個人所得課税においても住民税の割合を高めるよう求めている。
所得の区分ごとの見直しの方向 10種類ある所得区分ごとに区分方法も含め、見直しの方向が提示されている。以下にその内容を列挙する。
(1) 給与所得
一定割合で自動的に認められている「給与所得控除」を見直して、事業所得の必要経費の控除と同じような形にする。
(2) 退職所得
20年以上の長期勤続での控除額の優遇や短期間の退職金への2分の1課税を見直して、給与所得課税への租税回避行為に利用されることを防ぐ。
(3) 事業所得
必要経費を実額で認めるためには正しい記帳だけを認める。実額で経費を計上しない場合は経費が適切に反映される概算控除制度を導入する。
(4) 譲渡所得
譲渡損を総合課税の他の所得から控除できないようにする。土地、株式の譲渡所得は現在でも分離課税だが、その他の資産の譲渡益についても分離課税とする。
(5) 不動産所得
不動産所得という所得区分を廃止する。
(6) 一時所得
雑所得に統合する。
(7) 雑所得
雑所得から公的年金控除を独立させ一つの所得区分とする。
(8) 利子所得
(9) 配当所得
利子所得と配当所得は、譲渡所得のうちの株式譲渡所得などと一緒に、金融所得として一体化する。さらに、金融番号制度を導入する。
(10) 山林所得
この報告では、触れられていない。
その他の提言
その他、以下のような提案が挙げられている。
・現行の人的控除のあり方の根本的見直し。
・配偶者については、2分2乗方式を検討。
・扶養控除の対象者に年齢制限を設ける。
・特定扶養親族(16歳以上23歳未満の扶養親族)の見直し。
・国から地方への税源以上の一環として所得税と個人住民税の税率を見直す。
・前年の所得に課税する現行方式を所得税に合わせて現年課税にする。
・基礎年金番号か住民票コードを改良して納税者番号制度に利用できるようにする。
・課税庁だけが負っている立証責任を納税者にも求める。
・確定申告するメリットを作り、年末調整でなく確定申告をする機会を拡大する。
・長者番付(高額納税者公示)を廃止する。
・脱税への罰則を強化する。
N分N乗方式とは
配偶者控除の代わりに提案された2分2乗方式とは、世帯単位課税方式であるN分N乗方式の一種。N分N乗方式は、以下のような仕組みだ。世帯の所得を合算し、その合計を家族の人数(N)で割り、一人当たり金額を算出する(N分)。ここから基礎控除のような税率不適用所得を控除し、控除後の金額に対する税率により一人当たりの税額を算出する。この税額に世帯の人数を乗じて(N乗)、世帯単位の税額を算出する。(2005/08/29) 情報提供:アルファ コンサルティング オフィス
小島 史明
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