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労働契約法制研究会「中間取りまとめ」以後
「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」は、労働契約に関する新たな成文法の制定をめざして、厚生労働大臣が学識経験者に参集を求めて平成16年4月より開催されている。ほぼ1年、20回にわたる研究会の議論が「中間取りまとめ」として、去る4月13日に公表された。研究会の最終報告がとりまとめられるのは本年秋の予定で、その報告を踏まえ労働契約法案が作成され、早ければ2007年秋の通常国会に上程される見込み。今後、う余曲折があるだろうが、この「中間取りまとめ」の内容が、新しい「労働契約法」の骨格となりそうなので、以下にその要点を並べる。
労働契約法と労働基準法の関連
労働基準法は、刑罰を伴う労働条件についての労働者保護の基本法規である。また、その労働契約の規定は、民法の雇用契約の規定に実質的に取って代わって適用されている。しかし、この労働基準法の労働契約に関する側面は、現在の多様化する就業形態・就業環境に充分対応しきれていない。そのため、労働契約の開始、終了、変更についてトラブルを生みやすい状況があり、民事上の争いとなって判例で律せざるを得ないケースも多い。そこで、労働契約に関する民事上のルールを明確にする新しい法律として労働契約法が構想された。労働契約法は、労働基準法の民事的効力のみを持つ部分を集約するので、罰則や行政による監督指導は含まれない予定だ。
とりまとめの内容 「中間取りまとめ」では、新成文法の必要性に引き続き、労働関係の成立、労働関係の展開、労働関係の終了、有期労働契約、仲裁合意、労働時間法制の見直しといった順番で検討されている。
それぞれの検討の内容は、実務的に遭遇したときに、現在では判例を調べて答えを出しているような内容なので、非常に興味深い。法律は、以下のようなQに答える内容となるようだ。
労働契約法仮想Q&A
内定を取り消すときに、解雇予告手当は必要?
どういう条件の時に内定を取り消せるか?
試用期間の上限は何ヶ月が妥当?
労働者は、雇い入れ時に明示された労働条件をどこまで請求できるか?
就業規則の民事的効力は?
労働者に周知されていない就業規則に効力はあるか?
労働基準監督署に届けていない就業規則の効力は?
労働者の過半数代表に意見を聞くだけで十分なのか?
労働者の過半数代表は本当に代表として機能しているのか?
労働者の80%が賛成しても就業規則の不利益変更はできないのか?
労働条件を変更すれば解雇を避けられのだが、このよう提案は認められるのか?
配置転換と出向を命じることができる条件は?
転籍はどのような条件で可能か?
休職期間満了で自動的に退職になるのか?
懲戒権を行使できる条件は?
降格は、どういう条件でできるか?
退職者に、企業が出費した留学費用の返還請求ができるか?
整理解雇の必要要件は?
解雇紛争を金銭解決する場合の相場は、月給の何か月分?
事業主の勧奨に応じて提出した辞表を撤回できるのか?
労働基準法だけでは答えの出ないこれらの疑問に、明確な回答を与えてくれることが、労働契約法に期待される。
その他労働契約に付随する義務として、労働者側の兼業禁止、競業避止、秘密保持などの義務、事業主側の安全配慮義務、個人情報保護義務などについて明確にすることが検討されている。
パブリックコメント
5月20日から6月20日までの1ヶ月間、この「中間とりまとめ」に対するパブリックコメントが求められた。労働組合側は、新法を罰則の付いた強行法規とするよう求め、経営者団体側は、実体規制でなく任意規定にとどめるべきだと主張し、日弁連は、今後の討議に法律実務家を加えるように主張している。但し三者とも意見募集期間が1ヶ月と短期間なことに共通して遺憾の意を表明している。試用期間に上限を設けるべきかどうかだけについても意見が対立しているので、法案がどういう形に落ち着くか、これからの2年間、とても興味深いものがある。(2005/07/06) 情報提供:アルファ コンサルティング オフィス
小島 史明
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