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適格年金がもたらす退職金パニック〜退職金倒産がいよいよ現実に!? 

 税制適格年金は、平成14年4月1日に施行された確定給付企業年金法の施行により、経過措置として平成24年3月末までは存続させることはできるが、それ以降はすべて廃止されることは、周知のとおりである。
 しかし、まだ時間があるからといって、適格年金をそのまま放置している企業は、今後団塊の世代が退職する2007年を迎える頃、企業の存続も危ぶまれるほどの大問題に発展する危険があることはあまり知られていない。

 
適格年金の積立不足は深刻な事態に

 多くの適格年金では、現在予定運用利回りを5.5%で設定しているため、実質利回りと大きく乖離している。そのため積立不足が発生し、その穴埋めをどうするか、対応に苦慮した企業がとりあえずそのまま放置しているというケースが多い。
 退職者が発生しても、適格年金に資産があるため、退職者に規定の額を支払うことが今の段階ではできているが、その財源は1人ずつに小分けされたものではないため、全社員を対象に積み立てているはずの資金の多くが現在の退職者のみに支払われており、この先大量の退職者が発生すれば底をつくことが予想される。そのときにあわててもすでに手遅れである。
 
 
どの制度に移行すべきか?

 では、どの制度に移行すればいいのだろうか?
 各企業によってその対応は様々であるとは思うが、現段階で有力視されているのはやはり確定拠出型の制度であろう。
 まずは、確定拠出年金であるが、確定拠出年金法の第1条にある「公的年金の給付と相まって」という文言からもわかるように、いわゆる“年金”であるため、退職時に一時金として受け取ることはできず、原則60歳からの支給とされている。また、投資教育も企業の責任として行っていかなければならないなど、退職金としての性質とは若干離れた仕組みとなっている。
 次に、中小企業退職金共済法により定められているいわゆる中退共であるが、こちらは退職金の外部保全措置として位置づけられているため、原則として退職時に一時金として受け取ることが規定されているとともに、各個人ごとに掛金を積み上げていく仕組みであり、移行する際にも、各個人ごとにその資産が設定されることとなる。
 この点が、適格年金と大きく異なるところであり、それが故に管理も簡単に行うことができるため、事務担当者の負担も軽減される。
 また、移換限度額が今年の4月から撤廃されているため、適格年金の資産を全額移換することが可能となっている。ちなみに、適格年金の積立不足を埋めてからという概念はここでは発生しない。
 ただし、名前からも分かるように“中小企業”でなければ加入できないこと、またその資産は従業員に帰属する性質のため、懲戒解雇等の場合においても退職金が支給されてしまう等、その事由別に額を設定することができないなどのデメリットがある。

 いずれにしても早急な対応を

 そのほか移行先としては、確定給付企業年金や厚生年金基金、また企業独自に保険商品などでまかなうなどの方法がある。
 適格年金は、その認可を受ける際に、退職金規程を提出することが義務づけられているため、どの企業でも退職金規程が存在し、これに基づく退職金を支払う義務があることは、労働基準法においても規定されている。減額する等は労働条件の不利益変更となるため、原則として相当な合理性と従業員の同意が必要となる。
 予定外の退職金の大量出費により営業利益が赤字となれば、きわめて営業状況の悪い会社という印象を生むため、銀行などから融資を受けるに当たっても不利に働くことも懸念されている。企業の生き残りをかけた、早急な対応が求められている。

  

(2005/5/27)

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