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会社法案が閣議決定 商法改正の総仕上げへ(後編) 

 商法の「株式会社に関しての規定」、商法特例法の「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」、有限会社法を見直して一本化した会社法。前回に引き続き、企業における影響についてみてみる。

 
合併対価の柔軟化と敵対的買収防衛

  企業が合併するに当たり、消滅会社の株主などに対して存続会社の株式を交付する代わりに、「金銭その他の財産」を交付することが可能になる。これにより、存続会社の親会社の株式を消滅会社の株主などに対価として交付することもできる、いわゆる「三角合併」の手法が可能となる。
 IT起業による企業買収騒動により、この部分について、政府・自民党内でも調整がつかず施行が先送りされる結果となった。特に、外資による日本企業の買収や敵対的買収を懸念する声が相次いでいる。特に外資については、日本に設立した法人を存続会社にした企業合併を行うに当たり、自社の株式を対価にすれば、理論上、現金の負担なく企業買収が可能になるため、警戒感が根強い。
 このため、結果的に「合併等に際して株主等に対して交付する金銭等に関する経過措置」が置かれることになり、会社法の施行から1年間は合併にかかる規定の一部が除外されることになり、事実上、合併対価の柔軟化は先送りとなった。
 自民党はこの部分について、引き続きプロジェクトチームを設置して協議を続けていく予定。協議の行方に注目が集まっている。
 会社法には敵対的買収についても防衛策が盛り込まれている。買収者が被買収法人の一定割合以上の株式を購入した場合に、買収者以外の株主に対して新株予約権を発行できる、いわゆるポイズン・ピルや株主総会決議に拒否権を持つ特殊株式、いわゆるゴールデン・ストックに対して、譲渡制限を付与するなどの買収防衛策も手当てされている。そのほかにも、自民党では追加の買収防衛策を検討している。たとえば、買収者が被買収法人と事前協議する仕組みの導入などがあげられている。
 
 
会社の経営実態の把握−会計参与の創設

 会計参与は会社法に規定された新しい会社の機関となる。会計参与は株主総会により選任される。企業の会計に関して専門的知識を有する者−公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人が該当−が取締役などと共同して計算書類を作成することになる。B/S、P/Lのほかにも株式会社の計算書類を作成することになるが、具体的な書類は今後省令で決定される。
 会計参与は会社の規模を問わず、株式会社においては設置可能だ。定款で会計参与を設置する旨を定めればよい。あくまでも任意であるため、設置が義務づけられるものではないが、より透明性の高い、信頼性の高い企業会計の把握が経営実態の把握につながることから、金融機関などから融資を受けるに当たって会計参与の設置は有利に働くのではないかという声もある。
 一方で、会計参与になることにはリスクが伴う点も懸念される。会計参与が計算書類の作成などにおいて、任務怠慢などの過失により会社に損害を与えた場合には、原則としてその損害を賠償する責任を負うことになるからだ。また、悪意又は重大な過失により第三者に損害を与えた場合も損害を賠償する責任を負うことになる。

 その他の改正点

(1) 取締役会の書面決議が可能に
(2) 期中における自己株式の取得が可能に
(3) 剰余金の分配がいつでも可能に
(4) 最低資本金の下限額撤廃に伴い、資本金の額にかかわらず純資産が300万円未満の場合には、剰余金がある場合でも株主へ分配が不可能に
(5) 株式譲渡制限会社における取締役会の設置が任意に

などが予定されている。

 1990年以降、商法については毎年のように大きな改正が行われてきた。今回の会社法がその総仕上げと言われているだけあって、かなりのボリューム(979条からなっている)となった。
 本法案は今国会での成立が濃厚だ。予定通りいけば、2006年4月からの施行になる。
 前述したように、この会社法は規模の大小を問わず、かなりの企業に大きな影響を与えるものであることは間違いない。企業においては、事前に内容を精査した上で、自社における対応について検討しておいた方がよいだろう。

  

(2005/3/31)

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